西尾市の農産物紹介
水田作
米
愛知県の年間収穫量 | 123,800トン(2023年) |
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西尾市の年間出荷量 | 8,960トン(2023年) |
国内の主な産地 | 新潟県、北海道、秋田県 |
収穫期 | 8月中旬~9月中旬(コシヒカリ) 9月下旬~10月下旬(あいちのかおり) |
JA西三河の加工品 | 「矢作の恵」ポン菓子 ポンせんべい 「あまざけ」 米粉カレールゥ |
言わずと知れた「日本人の主食」のお米。古事記で日本のことを「瑞穂の国(お米の稲穂が瑞々しくみのる国)」と呼んだように、縄文時代から栽培されている、古い栽培の歴史を持っている作物です。
西尾市では主に『コシヒカリ』と『あいちのかおり』の2種類を主に生産しています。耕畜連携(※)を推し進め、一部の圃場では有機質肥料を利用して安全・安心な米の生産に努めています。また愛知県産ブランド米「愛ひとつぶ」の品種「なつきらり」の生産にも2020年度より取り組んでいます。
JA西三河では、西尾市内で採れたお米をブランド米「矢作の恵」として販売しています。食味良好で安全・安心な「矢作の恵」のお買い上げは、憩の農園ファーマーズマーケットまたは西尾市内のAコープまで。
(※耕畜連携:米や野菜等を生産している耕種農家へ畜産農家から堆肥を供給したり、逆に転作田等で飼料作物を生産し、畜産農家の家畜の飼料として供給する等、耕種サイドと畜産サイドの連携を図ること)
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麦(小麦)
愛知県の年間収穫量 | 134,300トン(2023年) |
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西尾市の年間出荷量 | 7,150トン(2023年) |
国内の主な産地 | 北海道、福岡県、佐賀県 |
収穫期 | 6月上旬~中旬 |
JA西三河の加工品 | 「きぬあかりひやむぎ」「きぬあかりそうめん」 |
とくに「麦」といった場合には、パンやうどんなどの原料となる、いわゆる「小麦」を指します。市内で最も多く生産されている『きぬあかり』は、愛知県農業試験場で生まれた品種です。「絹のように明るく白い色のうどんが作れる」ことを名前の由来に持つこの小麦は、小麦粉の白さだけでなく、「面積あたりの収量が高い」、「倒れにくい」、「コシのある麺が作れる」などの優れた性質を持っています。西尾市では2013年度から生産を開始し、2024年現在は面積の約80%を占める主力品種に。パンなどの製造に適する硬質小麦「ゆめあかり」(2016年度栽培開始・2019年度より本格収穫、栽培面積約20%)とあわせ、愛知生まれの新品種の特性を活かした生産を行っています。
西尾市の農家の麦生産技術はとても高く、愛知県内でもトップクラスの反収を誇り、品質評価も毎年安定してAランクを獲得しています。「きぬあかり」を栽培する一部のほ場では、栽培期間(播種から収穫まで)の間除草剤を使わずに栽培しており、「きぬあかりpremium」として差別化流通を行い、付加価値の高い商品化につなげています。
近年は西尾産小麦を「にしお小麦」としてブランド化し、地域団体商標(地域ブランド)の取得を目指す動きが本格化。農家と製粉業者・食品加工業者といった実需者が協力し、商品開発やPRに取り組んでいます。
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大豆
愛知県の年間収穫量 | 5,140トン(2023年) |
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西尾市の年間出荷量 | 1,660トン(2023年) |
国内の主な産地 | 北海道、宮城県、秋田県 |
収穫期 | 11月下旬~12月 |
しょうゆやみそ、豆腐などの原料になる、和食と日本人には欠かせない大豆。遺伝子組み換えされたものが多いといわれる輸入大豆の不安から、国産大豆を利用した製品が注目されています。
西尾市内では、遺伝子組み換えされたものではない、安全・安心で高品質な大豆『フクユタカ』を安定して生産。2020年度より「難裂莢性」を特徴とする新品種『フクユタカA1号』に全面切り替えています。
西尾の米・麦・大豆の生産
麦の収穫 西尾市は米・麦・大豆生産の担い手農家への農地集約が進んでおり、多くの水田でブロックローテーション(2年かけて米・麦・大豆を1作ずつ行う)を行っています。
米・麦・大豆生産の担い手農家で組織している「JA西三河農作業受託部会」の会員47人(法人含む)のひとりあたり平均水田作面積は約45ヘクタール。田植機やコンバインなどの農業機械を効率的に運用し、コストダウンを図っています。
米・麦・大豆農家(オペレーター)の生産スケジュール(2年間)
農産物検査業務に関する産地品種銘柄の選択銘柄について
JA西三河が定款で定めている、農産物検査に関する産地品種銘柄の選択銘柄は以下の通りです。
品目 | 道府県 | 品種 |
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水稲うるちもみ 及び水稲うるち玄米 |
愛知県 | あきたこまち、大地の風、みねはるか、ミルキークイーン、ひとめぼれ、ゆめまつり、あきだわら、なつきらり、ほしじるし、にこまる、あいちのこころ、にじのきらめき |
水稲もちもみ 及び水稲もち玄米 |
愛知県 | 十五夜糯、ココノエモチ、ヒヨクモチ、こはるもち |
醸造用玄米 | 愛知県 | 夢吟香、山田錦 |
普通小麦 | 愛知県 | きぬあかり、ゆめあかり |
(2024年8月現在)
- ※ 「農産物検査に関する基本要領」(平成21年5月29日付21総食第213号総合食料局長通知)Ⅰの第2の1の(2)の規定による
てん茶
西尾市の年間出荷量 | 334トン(2023年、てん茶のみ) |
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国内の主な産地 | 京都府、愛知県、静岡県 |
収穫期 | 5月上旬~中旬 |
JA西三河の加工品 | 抹茶プリン |
日本人に古くから親しまれている「お茶」。西尾市で主に生産されているのは、「てん茶」と呼ばれる、抹茶の原料になるものです。
乗用摘採機での収穫も進んでいますが、今でも約半数の茶生産者が茶葉の手摘みを行っています。これに加えて、棚式の寒冷紗を用いた遮光を行っていることも西尾のてん茶生産の大きな特徴。一番茶だけをていねいに手摘みした抹茶は、高級感ある濃厚な甘み・うまみに仕上がります。また、棚式の寒冷紗を用いることで茶葉が薄く広がり、苦み・渋味のもととなるタンニンの少ない、まろやかな味の抹茶が出来上がります。
西尾の抹茶の歴史は古く、鎌倉時代後期の1271年(文永8年)、西尾市上町の実相寺境内に、開祖・聖一国師がお茶の種をまいたことが始まりとされています。明治初頭には宇治より茶種と栽培技術が導入され、同寺近隣の農家による茶栽培が本格化し、日本有数の産地へと成長。長らく市町村別での生産量日本一を誇っていました(現在は市町村別統計が廃止されたため不明)。近年は抹茶アイスなどの加工品の原料としての需要が急激に増加しており、ご当地・西尾の特色ある食材である抹茶を使った食料加工品を生み出そうとする動きも盛ん。取扱い業者の中には、加工食品素材としての抹茶を売り込もうと海外へ進出するものもあります。毎年5月中旬ごろからは市内の小中学生による茶摘み勤労体験学習が行われ、市民の大半が一生に一度は茶摘みを経験。市内では時折々にお茶会や野点が開かれ、市民全体が抹茶の文化に親しんでいます。
西尾市内の茶生産者と商工業者で組織する西尾茶協同組合により、2009年には西尾市と周辺地域の特産である「西尾の抹茶」が特許庁の地域団体商標に認定されています。また2019年2月には、より安心・安全で信頼される抹茶生産につなごうと、愛知県による認証制度「愛知県GAP」の認証を受けました。知名度と付加価値を高め、伝統ある西尾市の茶栽培を未来へつなげていこうと、茶生産者や関係業者、行政機関が連携してPRと販売活動を広く行っています。
(※地域団体商標:事業者の信用維持を図り、産業競争力の強化と地域経済の活性化を支援することを目的に、平成18年4月より特許庁が導入した制度。「地域ブランド」とも呼ばれています。参考:特許庁ウェブサイト「地域団体商標制度」)
(※GAP:”Good Agricultural Practice”の略称で、「農業生産工程管理」をさす。農業における食品安全・環境保全・労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組。参考:愛知県ウェブサイト「愛知県GAP認証制度」)
果物
イチゴ
愛知県の年間出荷量 | 10,000トン(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 900トン(2023年、共選出荷のみ) |
国内の主な産地 | 栃木県、福岡県 |
収穫期 | 10月末~6月上旬 (需要ピークは11月下旬~12月上中旬のクリスマス前、出荷ピークは3月~4月) |
JA西三河の加工品 | いちごジャム 西尾市産いちごゼリー 苺ぼーろ |
イチゴはバラ科の多年草。いわゆる「イチゴ(英語でいうStrawberry)」としてスーパーなどに並んでいるものはオランダイチゴ属のものを指します。
西尾市では「章姫」と「紅ほっぺ」の2品種を栽培しており、年間に1000トン近くを出荷する県内でも有数の産地。クリスマスケーキに使われる12月が需要のピーク。その時期にたくさん収穫できるよう、西尾市内ではイチゴの促成栽培を行っています。8月ごろにイチゴの苗に夜冷処理(冷蔵庫に入れて花芽分化(※)を促進させること)を行い、9月中下旬に定植します。
2021~2022年度には、「JA西三河における生産から流通・販売のデータ駆動一貫体系の実証」と題したスマート農業実証事業にJA西三河きゅうり部会とともに参画。環境データの収集や袋詰め機の高度化などの実証を通じて積載率の向上や農業所得の向上に向けて実証を行いました。2023年度以降もスマート農業の実証事業に取組み、燃油使用量の削減、パック詰めの労働時間の削減などを目標に掲げ、産地規模の維持拡大に向けて栽培技術の高度化を目指しています。
JA西三河いちご部会とJA西三河・JAあいち経済連、西尾市・愛知県で組織する「JA西三河いちご産地振興委員会」は、2019年度より新規就農者むけ施設イチゴ栽培講座「いちごスクール」を開校しました。同スクールでは栽培技術の指導から経営研修、農地取得や施設相談までを行い、研修生をイチゴ専業農家へ育成します。西尾市内外からの新規就農希望者の研修・受入の仕組みづくりを通して、就農希望者を地域に呼び込み、長期にわたる産地規模の維持・拡大につなぐことを狙いとしています。
(※花芽分化:イチゴの生長点が葉芽から花芽に変わること。これが起こると茎の成長が止まって花をつけ、数か月後にイチゴを実らせます。イチゴは日が短くなり、気温が下がると花芽分化を迎えます。西尾市内では、夜冷処理を行って花芽分化させたイチゴ苗を9月に定植し、加温したハウスの中で育てることで、11月からの収穫・出荷を可能にしています)
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イチジク(無花果)
愛知県の年間収穫量 | 1,502トン(2021年) |
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西尾市の年間出荷量 | 180トン(2023年) |
国内の主な産地 | 愛知県、和歌山県、大阪府 |
収穫期 | 4月~8月上旬(ハウス) 7月下旬~11月上旬(露地) |
JA西三河の加工品 | いちじくジャム 西尾市産いちじくゼリー |
イチジクは、体内の過剰な塩分を排出するカリウム・便通改善の効果が期待できる食物繊維など、健康に嬉しい栄養素を豊富に含んでいます。
愛知県は日本一のイチジク生産地。西尾市などの西三河地区は、その中核を担っています。西尾市では昭和40年代より水田の転作作物としてのイチジク栽培が本格化し、現在はハウス栽培・露地栽培の両方での栽培が行われています。西尾市のイチジク生産者で組織する「JA西三河いちじく部会」は、JAあいち中央・JAあいち豊田・JAあいち三河のイチジク生産部会で組織する「西三河いちじく部会」の一員として、全国一のブランドを確立しています。
新規就農者が取り組み始めやすいことが魅力の作物でもあり、若手生産者や定年帰農者の就農も盛んです。2年目から収穫可能で、3年目から成園並みの収穫量を挙げることができます。作業内容が平準化されており、高所での作業も必要ありません。JA西三河では、イチジク専門の新規就農者向け講座「いちじくスクール」を開校しています。座学研修や生産者のイチジク果樹園での剪定・収穫の実習を通して、1年間かけてイチジクの栽培について学びます。いちじくスクールを修了した若い生産者の中には、規模拡大や他の作物との複合経営に乗り出す農家も出るなど、産地を大いに活性化させています。
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梨
愛知県の年間出荷量 | 4,660トン(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 57トン(2024年共選出荷のみ) |
国内の主な産地 | 千葉県、茨城県、鳥取県 |
収穫期 | 7月末~8月上旬(幸水) 8月下旬~9月中旬(豊水) 9月中旬~9月下旬(あきづき) 9月下旬~10月上旬(新高) |
真夏の味覚・梨。西尾市内では「幸水」「豊水」「あきづき」「新高」の4種類を主に生産し、「西尾梨」のブランド名で出荷しています。出荷は8月から9月にかけてですが、品種ごとに見ると「幸水」が7月末からお盆前ごろ、「豊水」が8月下旬から9月上旬と短期間。収穫期の梨農家は毎日が大忙しです。
西尾の梨は、梨ひとつひとつに袋をかける有袋栽培をしているのが特徴。産地全体で有袋栽培を行っている産地は三河地域では唯一。6月中旬に袋掛けされた梨は、収穫まで袋の中で大切に育ちます。袋掛けにより果皮を美しく仕上げ、病害虫の被害を防ぐとともに、農薬の使用量・回数を抑えることができます。
また、消費者の安全・安心志向に対応し、農薬の使用回数を減らすために、害虫の性フェロモンをうまく利用して発生を抑えるとともに、残留農薬検査などを実施しています。
切花
カーネーション
愛知県の年間出荷量 | 3,460万本(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 1,860万本(2022年) |
国内の主な産地 | 長野県、愛知県、北海道 |
収穫期 | 9月下旬~6月中旬 (5月第2日曜日の「母の日」前がピーク) |
「母の日」の花としてよく知られているカーネーション。イスラム教圏では古くから愛され、モスク(イスラム教の寺院)などの文様にしばしば使われています。
西尾市では、平坦で区画整理のできた地形や豊富な日照量、名古屋を中心とした大消費地を付近に持つことを強みに、旧一色町地域で昭和35年から生産がはじまりました。現在は年間に1,900万本以上を生産する、全国でも有数の規模を誇る大産地となっています。 近年はカーネーション共選部会でのフェロモン剤試験導入による害虫防除や、段組み出荷による生産資材の削減と品質向上といった新たな取組にもチャレンジしています。
9月下旬から翌6月上旬まで出荷が行われ、出荷最盛期は「母の日(5月の第2日曜日)」前の4月下旬から5月上旬にかけて。この間JA営農センターの選花場では、農家から持ち込まれたカーネーションの選別・出荷作業がピークを迎えます。また、個々のカーネーション生産者も盛んに収穫・選花を行い、市場へ出荷を行います。
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バラ
愛知県の年間出荷量 | 3,560万本(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 460万本(2023年) |
国内の主な産地 | 愛知県、静岡県、福岡県、山形県 |
収穫期 | 周年 (出荷ピークは3月~5月) |
バラは色鮮やかで香りも強く、古代バビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』にも登場する、4000年以上も前から人々に愛されてきた花です。春の3月~5月が出荷のピーク。この時期は卒業式・入学式や結婚式のシーズンで、バラが多く消費されます。
西尾市のバラ生産者で作る「レインボーバラ共選組合」では、約100種のバラを周年生産しています。真夏には生産を休む産地もある中、西尾市の一部の生産者は施設内に冷房をかけ、ボリューム感あるバラを休まず出荷しています。
1993年の発足当初から鮮度にこだわり、湿式輸送(水の入った容器で市場への輸送を行うこと)を全国に先駆けて採用しました。厳密な生産管理を通じて高品質のバラ栽培に取り組み、2018年4月には(一社)日本花き生産協会の「花き日持ち性向上生産管理基準認証者」の認証を取得。花持ち良く、購入後も手元で長く楽しめるバラを出荷しています。
組合には若い後継者が入っており、組合員の平均年齢は40代と若いことも特徴。今後も西尾の農業を支えていけると期待されています。
バラは西尾市のシンボルフラワーに指定されており、バラ栽培を楽しむ愛好家のバラ園も多く、市内各地でバラの姿を見ることができます。また、市内の戸ヶ崎公園では憩の農園より移植されたバラが楽しめます。レインボーバラ共選組合でも、「花育教室」として市内の小学校でバラに関する授業を行ったり、市役所へのバラの寄贈を行うなど、市民とバラが親しむ機会づくりに貢献しています。
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キク(輪菊)
愛知県の年間出荷量 | 4億3,770万本(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 380万本(2023年、共選出荷のみ) |
国内の主な産地 | 愛知県、沖縄県、福岡県、鹿児島県 |
収穫期 | 通年 |
日本の国花・菊。平安時代に成立した『古今和歌集』に菊を詠んだ歌が登場するなど、古くから日本人に愛されています。
西尾市内の輪菊生産農家で組織する「ロイヤルマム(西三河南部菊共選組合)」では、10戸の生産者が輪菊『精の一世』『神馬』を栽培。日本一の品質の菊生産を目指して、厳密な品質管理のもとでの生産を行っています。
出荷直前には、生産者や県農業改良普及課、JA担当者などがハウスを巡回して審査。合格したものだけが共選品として選花場に出荷できる体制をとっています。
「ばら受け選花」の体制を取っていることも大きな特徴。選花場では、出荷された輪菊一本一本を選花員が厳しくチェックし、曲がりや病害虫被害のあるものなどの混入を防ぎ、安定した高品質を実現。この2段階の選花で、他産地の追随を許さない高いブランド力を実現。市場からの高い信頼を得て、年間を通して他産地よりも安定した単価を維持しています。
選花場でのばら受け選花 通常、キク産地がピークとなるのは、お盆とお正月、春と秋のお彼岸の時期。しかしロイヤルマムの生産者によれば、「そのシーズンに合わせて生産量を多くするという意識はない」という人がほとんど。その理由は、ロイヤルマムの輪菊が業務用として利用されるのがメインとなっているためです。
この「業務用」とは、具体的には『葬儀場で利用するための菊』のこと。四季に関係なく仕事が舞い込む葬儀屋さんのニーズに応え続けるため、ロイヤルマムでは事務局を中心に出荷調整を実施して季節ごとの生産量を平準化し、高い品質の菊を一年通して安定出荷できる体制を整えています。
デルフィニウム
西尾市の年間出荷量 | 70万本(2023年) |
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国内の主な産地 | 北海道、愛知県 |
収穫期 | 10月上旬~6月下旬 (ピークは4月~6月) |
キンポウゲ属の青い花・デルフィニウム。つぼみの形をイルカ(ギリシャ語でDelphis)に見立てて学名をデルフィニウム(delphinium)と名付けられました。また和名では花の形をツバメに見立てて『大飛燕草』とも呼ばれています。
JA西三河デルフィニウム部会(愛称:オアシス)では農業用ICTツールを活用して定植日を細分化した計画生産を行い、主に関東・関西方面に出荷。JA・行政・生産者が一体となり、技術向上を目指しています。
野菜
キュウリ
愛知県の年間出荷量 | 10,400トン(2022年、冬春のみ) |
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西尾市の年間出荷量 | 2,596トン(2023年、冬春のみ) |
国内の主な産地 | 宮崎県、群馬県、埼玉県 |
収穫期 | 11月~6月 (出荷ピークは3月~5月) |
露地栽培では夏に収穫されるキュウリですが、西尾市内では、加温したハウスの中で11月から6月にかけて栽培する「冬春キュウリ」の栽培が盛んです。
西尾市内のキュウリ生産者で組織する「JA西三河きゅうり部会」は、安全・安心で高品質なキュウリを適正価格で提供することを目標に栽培に取り組んでいます。キュウリ産地では全国初となるトレーサビリティ体制を確立。また、選果データや栽培技術の高い部会員の知恵を部会全体で共有して栽培技術をマニュアル化するなど、部会全体の技術力の向上に努めています。部会の平均反収(10アールあたりの収穫量)25トン以上という実績は、全国平均の2倍以上の値。これらの取り組みが評価され、同部会は2013年に「日本農業賞・集団組織の部」で大賞を受賞しました。
2015年から開始したJA西三河の農業用ICTツール開発では、ICTツール導入を他部会に先駆けて進めており、部会員全員が環境測定器「あぐりログBOX」と食・農クラウド「Akisai(秋彩)」を導入しています。ハウス内の温度・湿度・CO2濃度の推移や、農薬・肥料の施用の情報を共有し、部会内の委員会で検討を加え、ノウハウ化による部会全体の生産技術のレベルアップを目指しています。
2019-2020年度には、施設栽培キュウリの養液栽培・周年栽培化や生育量予測を基にした労務管理などのデータ駆動経営の実現をめざすスマート農業の実証事業「ICTに基づく養液栽培から販売による施設キュウリのデータ駆動経営一貫体系の実証」に取り組みました。
引き続いて2021-2022年度は、国のスマート農業技術の開発・実証プロジェクトの採択を得て、「JA西三河における生産から流通・販売のデータ駆動一貫体系の実証」と題したスマート農業実証事業を行いました。実証期間終了後も、この実証事業で得られた経験やデータを基にさらなる産地内での普及を進めています。施設キュウリ栽培の最先端を行く産地として、常に新しい挑戦を続けています。
右のキャラクターは西三河冬春きゅうり部会のマスコット「きゅりん。」です。自分たちのキュウリをPRするキャラクターをつくろうと、JA西三河きゅうり部会青年部(45歳以下の部会員で構成)のメンバーが発案しました。冬春きゅうり部会のキャラクター利用委員会ではこれまでに、「きゅりん。」をあしらったポロシャツ・ジャンバーや帽子、売場のPOPやミニのぼり、顔出しパネルやLINEスタンプなどを制作。いろいろな場所に登場し、西三河地域のキュウリのPRに活躍しています。さらにSNSでの情報発信も積極的に行っています。
(※ 西三河冬春きゅうり部会:JA西三河きゅうり部会とJAあいち中央胡瓜生産部会で組織する共販組織。「三河みどり」ブランドで冬春キュウリを販売しています。)
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トマト・ミニトマト
愛知県の年間出荷量 | 41500トン うちミニトマト14700トン(2022年、冬春のみ) |
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西尾市の年間出荷量 | 大玉トマト:約120トン ミニトマト:約84トン(2023年、冬春のみ) |
国内の主な産地 | 熊本県、愛知県、栃木県 |
収穫期 | 10月下旬~7月上旬 |
JA西三河の加工品 |
赤美味ミニトマトジュース 完熟あかうまビーフカレー |
ビタミンCなど健康にうれしい成分をたくさん含むトマト。西尾市内では吉良町南部の三河湾沿岸を中心に、10月下旬から7月上中旬にかけてハウスの中で栽培されています。大玉トマトは『桃太郎』、ミニトマトは『キャロル7』を生産。吉良町は海に近いため、土壌に塩分とミネラルが豊富。この土壌を活かして、糖度の高いトマトを作っています。
JA西三河トマト部会では、房取りミニトマトを「赤美味(あかうま)」の名前で販売。この名前は『忠臣蔵』の吉良殿として知られており、お膝元である地元・西尾市では名君と慕われている吉良義央公の愛馬「赤馬」にちなんでいます。高度な栽培技術により房全体を赤く完熟させてから収穫することで、より「完熟性」「新鮮感」の高いミニトマトに仕上げています。近年は量販店とのつながりを強め、青果担当者の視察受け入れや店頭での試食販売を通して、新たなファンづくりに取り組んでいます。
ナス
愛知県の年間出荷量 | 6,820トン(2022年) |
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西尾市の年間出荷量 | 99トン(2023年、共選出荷のみ) |
国内の主な産地 | 高知県、熊本県、福岡県 |
収穫期 | 10月~6月 (出荷ピークは4月~6月) |
西尾市では10月から6月にかけてハウスでナスを生産しています。栽培している「とげなし輝楽(きらく)」は愛知県で生まれた品種で、肌につやがあり他のナスと比べて日持ちがするなど多くの利点をもっています。本来なすにはトゲがあるものですが、「とげなし輝楽」はお店で手に取るときや、調理の時にとげが手に刺さりにくく安心。料理の時にも煮崩れしにくく、煮物や炒め物に適しています。
西尾市のナス生産者で組織する西尾市茄子組合では、このナスを「とげなし美茄子(びーなす)」のブランド名で主に県内に向けて販売。花の数を基にした出荷量の予測グラフを市場に提出し、計画的な出荷を通してスムーズな販売につなげています。
タマネギ
愛知県の年間出荷量 | 25,000トン(2023年) |
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西尾市の年間出荷量 | 335トン(2023年) |
国内の主な産地 | 北海道、佐賀県、兵庫県 |
収穫期 | 5月中旬~7月中旬(加工用・契約栽培) |
様々な料理に使われるタマネギ。砂地での栽培に適する性質から、西尾市内では寺津地区・平坂地区といった海岸沿いの地域で栽培されています。
伝統的な生食用(家庭での消費用)としての生産のほか、2008年からは、遊休農地の活用と水田農家の副業として、加工用タマネギの契約栽培も行われています。JA西三河とJAあいち経済連が出荷時期・出荷量と買い取り金額をあらかじめ契約し、農家から集荷したタマネギを経済連を通して直接食品会社へ販売。市況に左右されず、収入の見込みが立てられるため、農家経営の安定につながります。
サツマイモ
西尾市の年間出荷量 | 1.5トン (2023年、JA出荷(佐久島)のみ) |
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国内の主な産地 | 鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県 |
収穫期 | 10月 |
JA西三河の加工品 | 本格焼酎「sakushima~咲島~」 |
秋の甘い味覚・サツマイモ。西尾市内では産直農家による生産・販売が行われているほか、佐久島で本格栽培が行われています。
2017年よりJAは、佐久島で増加する遊休農地への対策として、島民団体「島を美しくつくる会」や西尾市とともに、佐久島産サツマイモ「サクのいも」名産化の取組を開始しました。品種選定の試験栽培を経て2018年に本格栽培を開始し、秋には1.2トンを収穫。JAはこのサツマイモを原料とし、(株)相生ユニビオによる製造のもと、佐久島産サツマイモの芋焼酎「sakushima~咲島~」を2019年6月に発売しました。
今後は栽培面積や収穫量を伸ばして芋焼酎の生産を拡大するほか、加工品作りにも西尾市・島民団体とともに取り組む予定。佐久島の名産品として「サクのいも」ブランドを育成していきます。
鉢物・植木
鉢物
お祝いごとやインテリアに使われる観葉植物や洋ラン。西尾市周辺の生産者で組織する「西尾鉢物出荷組合」では、コチョウランや観葉植物、果樹・花木の鉢植えや山野草類を指す『和物』、鉢花などの個性豊かな鉢物を生産し、効率的な輸送により全国各地に届けています。
西尾鉢物出荷組合では鉢物の輸送業者の一元化により、全国の市場へ効率的な輸送を行っています。農家にとっては鉢物の輸送コストの低減により、所得向上を実現するとともに、小ロットの商品も運搬できることから、バラエティ豊かな鉢物を作り続けることができます。輸送業者にとっては輸送計画を立てやすくなることから、一度に多くの荷物を運搬し、トラックに様々な商品を積載できるため小ロットの運搬にも対応可能になるなど、双方にメリットがあります。
近年は販売強化に力を入れ、スマートフォン・タブレット用アプリを活用した市場担当者との密な情報交換を通じて直接取引につなげています。関東・関西の市場を訪れての展示即売会やリモート商談会を盛んに行い、買参人との直接対話を通じて販路拡大に挑んでいます。
これらの取り組みが評価され、同組合は2023年度の第53回日本農業賞・集団組織の部で大賞を受賞しました。「なんでも揃う鉢物産地」として、品質・品ぞろえの両面で高い評価を市場から受けています。
関連ページ
西尾鉢物出荷組合 ホームページ
※一般消費者への直接販売は行っておりません。あらかじめご了承ください。
植木
西尾市内では福地地区を中心に、造園・ガーデニングに使われる植木や苗木が生産されています。また植木生産者の多くは、花壇用の草花苗や、家庭菜園用の野菜苗も生産。福地地区の生産者の多くは、憩の農園ファーマーズガーデンなどで販売しています。
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畜産・酪農
牛や豚を育てる畜産、乳牛を飼育して生乳を出荷する酪農。酪農家・畜産家は、おいしいお肉や新鮮な牛乳を届けるため、毎日休まず牛や豚の世話をしています。
畜産農家は子牛や子豚を育成して市場へ出荷。また酪農では市内で12戸の酪農家が約812頭の成牛を飼育し、一日に20トンの生乳を出荷。県内の指定業者が集荷し、主に飲料用に利用されています。
※西尾市の年間出荷量はJA集荷量およびJA把握分のため、市内全域の出荷量とは異なる場合があります